音楽

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友部正人を聴いて (2)-「祈り」の詩人/音楽家

先述のように友部のぶっきらぼうに思える歌いぶりは良くボブ・ディランに似ていると言われます。ディランの特徴であるメロディや小節にとらわれない歌い方は、形としての音楽を作る以前にあった、歌いたくてたまらない内実が溢れ出てしまったからこそのものであり、友部もまた「歌いたいもの」がまずあったと言うことができるでしょう。
音楽

友部正人を聴いて(1)-「たましい」の声

友部正人(ともべまさと)の歌の魅力をどう表現したらいいのでしょう。裸の「たましい」に触れて来る、裸の「たましい」の声とでも言うのでしょうか。フランスの詩人ボリス・ヴィアンは不世出の名歌手エディット・ピアフを「たとえ電話帳を歌っても、感動的でしょう」と讃えました。今なら友部正人に同じ讃辞を贈りたいです。
音楽

マーヴィン・ゲイ「ホワッツ・ゴーイン・オン」が今も伝えること

マーヴィン・ゲイ(1939~1984)という黒人歌手をご存じですか?彼が、1971年に発表した「ホワッツ・ゴーイン・オン」という曲があります。冒頭、黒人のストリートのざわめきの中から、Hey brother, what’s happening? Right on! Right on,brother. という声が聴こえてきます。
音楽

「ワールド・ミュージック」のおかげで、中森明菜に目覚めました

その「ワールド・ミュージック体験」のあと聴いたアイドル歌謡にはまったく驚きました。もちろん売れ線を狙った音楽なのでしょうが、だからこそ時代の空気の必然を反映し、その意味も明かしているように思えたのです。特に中森明菜の「セカンド・ラブ」
音楽

「魅惑のクロンチョン」をお試しあれ

クロンチョン(Kroncong)はインドネシアの大衆音楽で、ポルトガルの影響を受けて生まれた世界最古のポピュラー音楽と言われています。と言っても古めかしかったり、原始的だったりするものとは全く違います。洗練されて、まろやかで、心を温かくしてくれる音楽です。
社会・世界

苦難の果てのきらめきーアルメニアの音楽

友人への誕生日プレゼントで、一緒にヴァイオリン奏者 漆原啓子(うるしはらけいこ)とピアノとの二重奏コンサートに行ってきました。アンコールで演奏したアルメニアの作曲家バグダサリアンの「ノクターン」(1957)の余りの素晴らしさには呆然となりました。
文学

フィリップ・マーロウに教えてもらったこと

最近ちょっと不思議なレコードを入手しました。『マーロウ ロンリー・フォー・ユー(フィリップ・マーロウ 君がいないと)』というタイトルで1983年制作。ネット・オークションの中に見つけたときはピクリと反応してしまいました。
社会・世界

人々の悲しみを引き受けるアラブの歌姫

なぜ、こんなにファイルーズに惹かれるのでしょう。「ビロードのよう」と称された声の柔らかい響き、浮遊する節回しが運ぶ深い余韻と哀感、人々の心を包み込むかのような優しさ。いまCD棚を見ても、彼女のものだけで40枚は並んでいます。ファイルーズの作品と見ると、とにかく手に入れたくなってしまいます。
社会・世界

壁を壊し続けたロック・スターをドイツ外務省も称えました

『ヒーローズ』RCA 1977  1月10日はイギリス出身のロック歌手デヴィッド・ボウイの命日です。(注1)  彼の作品の中から1977年の『ヒーローズ』Heroes を聴いて、彼の活動を偲びました。  宝石商だった父...
音楽

部屋の魔窟を片付けていたら、思い出したビートルズのあの曲!

妻が新しいベッドを買うことになり、それまで使っていたベッドを私の部屋に入れることになりました。私の部屋は7畳ほど、大きめの机が窓際にあり、あらゆる所に本やレコード、CDが山積みになり、床が見えるのはわずかに1m×2mのスペースだけです。