授業は次のように進んでいきます。Tは教員、Cは生徒たち・クラスの反応です。
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T.「人権宣言」を、守るべき最高の規範としてまとめたものが「憲法」だと言いましたね。だから、次のような言い方をします。
「憲法とは、国民による、政府(国家)に対する( )である」
T.さあ、この( )にどんな言葉が入るでしょう?
C.「運動」?
C.「提案」。
T.だって、国民が主人公だよ。
C.わかった、「お願い」!
T.ちょっとー、謙虚すぎるんじゃない?
国民の方がもっと強いよ、だって、革命で国王を倒したんだよ。
C.「宣言」!
T.そういうことなんだけど、ここではもっと強く言っちゃおう。
C.「命令」!
T.その通り。
「憲法とは、国民による、政府(国家)に対する 命令 である」
T.これを覚えておいてくださいね。(注1)
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ですから、憲法とは国の主人公(主権者)である国民が、政府に対して「これをしなさい」と最高の権威をもっていう命令ということなんです。
災害のことで言えば、政府が国民一人ひとりを守り、助けるのは当たり前のことです。でも、それは面倒だし、お金もかかるから嫌ですと思っているかのような政治家が多すぎますね。
そういう人たちは、「憲法には国民の権利ばかり書いてあって、義務についての記述が少なすぎる」などと言ったりします。国民の権利について書いてあるのは当然です。政府に「これを守れよ」と突きつけているのですから。
政府が自分から「憲法を変えたい」というのがおかしいことも分かります。
犯罪を犯しそうな人が、このままの法律だと有罪になってしまうから、無罪になるように法律を変えてと言っているのと同じです。
私たち国民もそのようなことに対して敏感になっていなくてはなりません。そのためには憲法が生まれたこのような成り立ちを知っていくことも大切だと思います。
政府・国家のために国民があるかのように馴らされてしまっている私たちなのかもしれません。
政府・国家があって、国民がいるのではありません。
企業があって、国民がいるのではありません。
国民があって、その幸せのために政府・国家があり、企業があるのです。(注2)
「憲法は、国民による、政府(国家)に対する命令である」
の意味は、どんなときでも国民の「一人ひとりのかけがえのなさが本当に大切にされる」ことが最上位であるということです。
それ以外の最上位はありません。それを、生徒たちに何回でも刻印してあげたいと思います。
2024.3.8
(注2)このことに「そうは言っても……」と思うとしたら、私たちは既に、以前述べた「パックス・エコノミカ」に意識を牛耳られているということかもしれません。